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♪ 01. OPENING - Kagura Drum Chant Recorded at Liquid Room (8th,March,2002) (except track10 & 11) Keyboard: Hajime Yoshizawa (Cosmic Village,Sleep Walker) Jammed session on [Colors] (track07) all songs written & produced by FARR for Music Conception (except track 06) 端正なコードワークと精緻なリズム・コンストラクションによって成立するCalmの音楽からその「らしさ」という制限や束縛を取り外した地点から、OrganLanguageというプロジェクトはスタートした。静と動、インナースペースとアウタースペース、ソロとバンド・フォーマット。CalmとOrganLanguageの間にあるいくつもの揺らぎ。スタジオ作品というホームから外に向けて、おぼつかない足取りで踏み出したその震えをパッケージングした『Organ Language Plays Outer Tone』は、2002年3月8日、新宿リキッドルームにおける<Revirth presents Earp>で披露されたOrganLanguageのライヴのレコード=記録でありアーカイヴであり、それ以上の意味づけを拒むだろう。 「自分のシーケンスはあくまでガイドとして鳴らした」というFARRの言葉通り、彼とミュージシャンとの関係は、不自由の中の自由という拮抗/均衡の中に置かれる。「コミュニケーションと言えるかどうかはわからないけど、その人との<信頼>」をベースとして、漠然としたイメージや構成の基本ラインを伝え、相手の意見を消化しながら、最終的な形に落とし込む。曲の長さはある程度決定されているとはいえ、演奏が導き出す熱量に応じて、8小節単位で刻々と伸び縮みする。 Calmのアルバムを聴きメールでコンタクトを取ってきたという神楽奏者によるオープニング(初期の音源から「神楽」または「Kagu-ra」はいくつかのヴァージョンで変奏されてきた)。Moonage Electric Ensembleの頃からのCalmサウンドの良き理解者である、サックスの加藤雄一郎とキーボードの中島伸行。朧気なロング・トーンでシーツ・オブ・サウンドを編み出す「Kagu-Ra」、歯切れのいいリフでバウンスする「Talk Without Lips」や「Song For Two Young」など、艶やかな響きでアルバムとの差異を印象づけるホーン・セクション。「スクラッチというオトを使った音楽を追求している人だから」声をかけたというDJ BAKUは、ある種のオマージュとしてCalmのレコードを素材として曲にインサートする。FARRはパワーブックとミキサーで自身のシーケンスを制御し、そこにエフェクトやフィルタリングを施しながら、細かい展開をメンバーに指示する。4+5拍子の不安定なテンションが4拍子の解放へと導かれ、往年のニューヨリカン・フレイヴァーが充溢する「Organic Language Part1 and Part2」では、杉本智和のダブル・ベースと吉澤はじめのエレクトリック・ピアノが確かなスキルで曲をリードする。 BOSS THE MC(Tha Blue Herb)、中野良恵(EGO-WRAPPIN')、栗原務(Little Creatures)がライヴの1時間前に急遽ハプニング的に参加することになった「Colours」は、おそらくライヴ・レコーディングという未知数の場でしかありえない最大の副産物だろう。ターンテーブルによるノイズの躍動がアルバム『OrganLanguage』を通じて最もディープ・コンセントレーションな強度を生み出していたこの曲は、リズム・シーケンスが途中で止まる中盤に至って、FARRというコンダクター=中心点が消滅し、アウト・オブ・コントロールな暴走を始める。GOROによるディジェリドゥとShibaによるミュート・トランペットが不穏なトーンを醸成し、BOSSと中野はゴスペルや声明やヴードゥー・チャントを経由して曲のミスティックな生命力を翻訳する。言葉にならない声。サウンドに収まらない音。フリー・ジャズ的無秩序でも手練れのミュージシャンによるクリシェでもなく、アルカイックでプリミティヴな「いろ、とり、どり、の、おと」への召還。 ライヴという概念が今の人と違う、自分は昔気質の人間だからとFARRは笑う。そして、これもまた数多ある<通過点>のひとつだと。ジャズのエッセンスもあくまでスパイスのひとつ、トリッキーな要素やコンセプチュアルなゲームへの埋没を避けたオーセンティックなライヴ・アルバムを提示するという矜持がそこにはある。ライヴを遡ること数日。真夜中のリハーサルは続き、スタジオの窓からはルート246と首都高速が闇の中に浮かび上がり、ささやかな泡沫かもしれないが(あるいは、だからこそ)、ワン・ナイト・スタンドの共生の瞬間に向けて、生成変転する音は走り始める。
Release:2002.09.27 |