Revirth

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OrganLanguage
OrganLanguage Plays Outer Tone


01. OPENING - Kagura Drum Chant
02. Viviparity around Fire
03. 神楽 Kagu-ra
04. Talk without Lips
05. Song for too Young
06. Organic Language Part1 and Part2
07. Colors
08. Ancient Gale
09. Kagura SAX DUB (a Touch of CALM)
10. 空気の色 Colors of Air*
11. 神楽 Kagu-ra*

Recorded at Liquid Room (8th,March,2002) (except track10 & 11)
*It was released as a single [EAST WEST] under the name of CALM in 1998.

Keyboard: Hajime Yoshizawa (Cosmic Village,Sleep Walker)
Keyboard: Nobuyuki Nakajima
Bass: Tomokazu Sugimoto
Trumpet: Shiba
Sax: Yuichiro Kato (MI-NE)
Conga & Bongo:Daisuke Nishioka (MI-NE)
Percussion: Kenkou (MI-NE)
Turntable: DJ BAKU
Didjeridu: GORO
Kagura Drum: Gaishi Ishizaka
All Other Instrumentals: FARR

Jammed session on [Colors] (track07)
Spoken Word: Boss The MC
Vocal: Yoshie Nakano (appears Courtesy of Minor Swing / ISLAND, A UNIVERSAL MUSIC COMPANY)
Djembe: Tsutomu Kurihara (Littler Creatures,Noise On Trash,Double Famous,RIM)

all songs written & produced by FARR for Music Conception (except track 06)
Organic Language part2 (track06)
co-written by Hajime Yoshizawa, Tomokazu Sugimoto

アポロ11号が人類初の月面着陸を果たした1969年にFARR=深川清隆が誕生したという事実と、彼が育むCalmやOrganLanguageの音楽には表面的には何のつながりもない。だが、輝かしくも愚かしい人類の記録/記憶の営みがどこかで彼の音楽の素地、 メモリーバンクとして蓄えられ、深い影を落としている。

端正なコードワークと精緻なリズム・コンストラクションによって成立するCalmの音楽からその「らしさ」という制限や束縛を取り外した地点から、OrganLanguageというプロジェクトはスタートした。静と動、インナースペースとアウタースペース、ソロとバンド・フォーマット。CalmとOrganLanguageの間にあるいくつもの揺らぎ。スタジオ作品というホームから外に向けて、おぼつかない足取りで踏み出したその震えをパッケージングした『Organ Language Plays Outer Tone』は、2002年3月8日、新宿リキッドルームにおける<Revirth presents Earp>で披露されたOrganLanguageのライヴのレコード=記録でありアーカイヴであり、それ以上の意味づけを拒むだろう。

「自分のシーケンスはあくまでガイドとして鳴らした」というFARRの言葉通り、彼とミュージシャンとの関係は、不自由の中の自由という拮抗/均衡の中に置かれる。「コミュニケーションと言えるかどうかはわからないけど、その人との<信頼>」をベースとして、漠然としたイメージや構成の基本ラインを伝え、相手の意見を消化しながら、最終的な形に落とし込む。曲の長さはある程度決定されているとはいえ、演奏が導き出す熱量に応じて、8小節単位で刻々と伸び縮みする。

Calmのアルバムを聴きメールでコンタクトを取ってきたという神楽奏者によるオープニング(初期の音源から「神楽」または「Kagu-ra」はいくつかのヴァージョンで変奏されてきた)。Moonage Electric Ensembleの頃からのCalmサウンドの良き理解者である、サックスの加藤雄一郎とキーボードの中島伸行。朧気なロング・トーンでシーツ・オブ・サウンドを編み出す「Kagu-Ra」、歯切れのいいリフでバウンスする「Talk Without Lips」や「Song For Two Young」など、艶やかな響きでアルバムとの差異を印象づけるホーン・セクション。「スクラッチというオトを使った音楽を追求している人だから」声をかけたというDJ BAKUは、ある種のオマージュとしてCalmのレコードを素材として曲にインサートする。FARRはパワーブックとミキサーで自身のシーケンスを制御し、そこにエフェクトやフィルタリングを施しながら、細かい展開をメンバーに指示する。4+5拍子の不安定なテンションが4拍子の解放へと導かれ、往年のニューヨリカン・フレイヴァーが充溢する「Organic Language Part1 and Part2」では、杉本智和のダブル・ベースと吉澤はじめのエレクトリック・ピアノが確かなスキルで曲をリードする。

BOSS THE MC(Tha Blue Herb)、中野良恵(EGO-WRAPPIN')、栗原務(Little Creatures)がライヴの1時間前に急遽ハプニング的に参加することになった「Colours」は、おそらくライヴ・レコーディングという未知数の場でしかありえない最大の副産物だろう。ターンテーブルによるノイズの躍動がアルバム『OrganLanguage』を通じて最もディープ・コンセントレーションな強度を生み出していたこの曲は、リズム・シーケンスが途中で止まる中盤に至って、FARRというコンダクター=中心点が消滅し、アウト・オブ・コントロールな暴走を始める。GOROによるディジェリドゥとShibaによるミュート・トランペットが不穏なトーンを醸成し、BOSSと中野はゴスペルや声明やヴードゥー・チャントを経由して曲のミスティックな生命力を翻訳する。言葉にならない声。サウンドに収まらない音。フリー・ジャズ的無秩序でも手練れのミュージシャンによるクリシェでもなく、アルカイックでプリミティヴな「いろ、とり、どり、の、おと」への召還。

ライヴという概念が今の人と違う、自分は昔気質の人間だからとFARRは笑う。そして、これもまた数多ある<通過点>のひとつだと。ジャズのエッセンスもあくまでスパイスのひとつ、トリッキーな要素やコンセプチュアルなゲームへの埋没を避けたオーセンティックなライヴ・アルバムを提示するという矜持がそこにはある。ライヴを遡ること数日。真夜中のリハーサルは続き、スタジオの窓からはルート246と首都高速が闇の中に浮かび上がり、ささやかな泡沫かもしれないが(あるいは、だからこそ)、ワン・ナイト・スタンドの共生の瞬間に向けて、生成変転する音は走り始める。


TEXT BY 富樫信也

Release:2002.09.27

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